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900水槽(5) 頭部穴あき病の治療




レッドシクリッドに頭部穴あき病が発症したのは、昨年の秋の事だった。
飼育開始から14年が過ぎて、既に老成魚だから薬剤の使用には慎重にならざるを得ない。
その為、負担が少ない物から順番に試す事にしたから、必然的に長期戦になる事は覚悟の上という事になる。



頭部穴あき病の原因は、まだ確定されていない。
これまでの経験では、老成魚が発症するケースが多い様にも思うのだけれど、アフリカンシクリッドでは一度も無いから加齢だけが原因でも無さそうだ。

同様に、良く言われる「混泳によるストレス」や「水質の急変」なども当て嵌っているとは思えない。
第一に、大型になるシクリッドは例外なく単独飼育をして来たから混泳によるストレスはない。
一方、病気になるほどの水質の急変についても、定期的に水素イオン濃度(pH)の測定をしつつ、二週間に一度は30%程度の換水を行っていたから、ダメージを与える程の硝酸が蓄積したとも考え難いのだ。



ネットを検索すると、以下の様な「説」が流布している。

①餌
②水素イオン濃度(pH)の変動や硝酸の蓄積による水質悪化
③環境(混泳や周辺の騒音など)によるストレス
④寄生虫(ヘキサミータ)
⑤活性炭

何故かアメリカのシクリッド愛好家の間では「活性炭」が原因との説が根強い。
曰く、輸送時に出来る粒子状になった炭が原因らしい。
そして、毎度の事だけれど根拠については推測と想像の域を出ないから、都市伝説と断定しても良いのかもしれない。

つまり、シクリッドの頭部穴あき病については、原因不明の難病であるという事しか分かっていない。



まずは魚体への影響が少ない物から実施して行く。
Prazipro(2020.10.22-1)
プラジプロ(Prazipro)は生体への影響が小さいとされているから使い易い。
吸虫、線虫、鞭虫などに効果があるから、50%換水後に規定量を投与した。
薬浴期間は一週間。
これを2セット繰り返したのだけれど、特に効果は見られなかったから、少なくとも上の類の寄生虫が原因ではないと思われる。



次は観賞魚用パラザンD。
パラザンD(2021.2.17)
長く品薄が続いていた観賞魚用パラザンDだけれど、ようやくマーケットに出回るようになって来た。
オキソリン酸を主成分とする観賞魚用パラザンDはグラム陽性菌、つまり濾過バクテリアには作用しないとされる。
その為、いわゆる細菌性の感染症とされるエロモナス症やカラムナリス症が疑われる場合、濾過バクテリアを死滅させない観賞魚用パラザンDは使い易い。
薬浴時の水質悪化を最小限で食い止められるからだ。

今回は50%換水を行ってから、規定量での薬浴を2回行ってみたのだが、あまり効果は感じられなかった。
進行は止まっているようなのだけれど、観賞魚用パラザンDの効果とは言えないかもしれない。



そんな訳で。
今週はエルバージュを試している。
レッドシクリッド(2021.2.17-2)
エルバージュはグラム陽性の濾過バクテリアも滅菌してしまうから、餌の量と換水頻度は考える必要がある。
また、光に反応して分解されてしまうから、本来であれば遮光が必要になる(画像は撮影の為にライトを点灯している)。
薬効は通常2~3日だから、規定量で薬浴をして、3日後に50%の換水を行ってから再度規定量を投与した。
今回の場合、体側の潰瘍部分は改善していて、これまでの薬材の中では一番効果がありそうだ。

ただし、この場合の効果は頭部穴あき病に対してと言うよりも、穴の周辺組織が細菌性の感染症によって侵される事を防いでいる感じだろうか。



今のところ、頭部穴あき病に改善の兆候は見られない。
レッドシクリッド(2021.2.17-3)
レッドシクリッド自体は、行動も活発だし餌も普通に食べているけれど、穴の開いた顔は痛々しい。
大型シクリッドの場合、体力があるから闘病は長引く事が多く、数年間に及ぶ事さえある。



とは言え有効な治療法が無いから、原因の一つとされる硝酸塩が蓄積しない様に換水量を増加させる程度しか手がないのが実態だったりする。
何とも歯痒い状況が続いているのだけれど、根気よく治療を継続して行こうと考えている。

次は患部への抗生物質の直接塗布だけれど、これも決定打にはならないかもしれない。



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ざうらー

Author:ざうらー
アクアリウム趣味を始めて以来、ずーとコリドラスと一緒。
好物はライン系のセミロングノーズ・タイプ。
コリドラスに関わる森羅万象が知りたい。
将来の夢はコリドラスになる事ですが、なにか?

・2021年1月1日
カテゴリーの整理を行いました。
・2021年4月7日
タイトルをカタカナ表記からアルファベット表記に変更しました。

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